ゆめの乃木坂観

乃木坂について思いついたことをだらっと

【5】7thバスラから見た8thバスラ ー"静"と"動"の観点からー

 

はじめに

こんばんは、ゆめです。

昨日までナゴドで8th YEAR BIRTHDAY LIVEがありました。

全199曲+25枚目表題「しあわせの保護色」の計200曲が4日間で披露され、

とてもボリュームのある素晴らしいライブになりましたね!

フリや立ち位置を何曲も入れ直して準備して一生懸命披露してくれたメンバーには頭が上がりません...

参加された皆さんもお疲れ様でした!

 

さて今回は、帰りの新幹線の中でツイートしたこのツイートが意外に伸びていたので、ここら辺を詳しく書いていこうかなと思います。

 

 

メンバーのかわいさとか優勝ポイントとかではなく、あくまで全体のライブを通じての感想となります。

※前提として1stバスラから4thバスラは知らず、5thバスラは円盤だけ、6thバスラは2/3参戦、7thバスラは3/4参戦、8thバスラは全通です。

 

7thバスラの"静"と"動"

"静"の要素 ー1stシングルからの全曲披露ー

バスラといえば全曲披露ですね。

この果敢な取り組みは、1stバスラから脈々と乃木坂のライブ史に刻まれている乃木坂の伝統とも言えるものです。

今までで全曲披露をしなかったのは6thバスラだけであり、年数を重ねるごとに当然曲数は増えていきますから、どんどん大変になっていきます(移動距離の長さと休憩時間の少なさを考えると6thバスラがどのライブよりもある意味大変だったのではないかと言えますが)。

全曲披露にあたって注目されるのがこの曲数の多さですが、その披露順も興味深いものがあります。

1stバスラから4thバスラまでは、1stシングルから最新シングルまでを順に追って披露しています。

5thバスラは初日が橋本奈々未卒業コンサートとなっているため、初めて1stシングルからの披露をやめており、初日が彼女の深々としたお辞儀からサヨナラの意味で始まったことが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

6thバスラはシンクロニシティライブのコンセプト上全曲披露が不可能であり、したがって7thは最終日が西野七瀬卒業コンサートとなっているものの、4thバスラ以来の久しぶりの1stシングルからの全曲披露となったということになります。

この1stシングルからの全曲披露は乃木坂の原点から現在を時間を追って感じられる構成となり、非常に感動的な感情を揺さぶられるものになります。

しかしこの点、2つのことに着目しなければなりません。

まず、1stシングルから披露することに伴って、ライブが必然的に静的、形式的になってしまうことです。各シングルはそのシングル1枚で完結しているので、シングルごとに順に披露していくと、シングルとシングルの間にはどうしてもある種の断絶感が生じます。また、次に披露される曲も予想でき、次に何がくるんだろうというワクワク感は抑えられてしまいます

したがって全曲を上から順に披露することにより、普段のライブよりもセットリストの中での動きが生まれにくくなってしまいます。

加えて、曲数と日程の増加です。

5thバスラは1日40曲前後の3日間であったのに対し、7thは1日50曲弱(アンコール含め最低でも45曲)の4日間となります。この二つの増加は、上記の静的、形式的な要素に拍車をかける要素となります。

以上より、最終日の卒コンのために正確には1stシングルから22ndシングルまで順に披露してはいないものの、7thバスラは、静的な要素、あるいは形式的な要素が強く出てしまいがちなライブであったと言うことができます。 

 

"動"の要素 ー空間と人を動かすー

そこでこのような静的な要素を打開するために、2つの動的な要素が導入されたのです。

1つ目が、ワイヤーアクションを中心とした空間を生かす演出の導入です。

ドームという縦にも広い空間を生かしたフライングで齋藤飛鳥西野七瀬は宙を舞い、サブステージでは天空席にもメンバーが見えるようにかなり高くまでステージが上がりました。流星ディスコティックで白石麻衣松村沙友理はハート型の乗り物でアリーナ上空を縦横無尽に移動し、最終日にはどいやさんの気球が登場しました。ワイヤーで吊るされたメンバーが、メインステージのスクリーンの上を垂直に歩いて降りてくるというのもありましたね。

 

realsound.jp

これほど多種多様な手段で空間を存分に生かした演出は過去になく、お金も労力も非常にかかっていた演出だったと言えます。ライブで上を見上げるという経験はほとんどなく、観客に新しい体験を提供しました。

 

そして2つ目が、卒業メンバーのポジションに積極的に若いメンバーを入れていったことです。

2017年の東京ドーム公演を機に1期生を中心に多くのメンバーが卒業しており、特に少人数で披露するユニット曲やソロ曲をどうするかは、7thバスラの全曲披露にあたって乃木坂の運営が最も悩んだ事項の一つであったと思います。 

ここで運営は、後輩を積極的に空いたポジション入れていく決断を下しました。

女子校カルテットの口約束では若月佑美のポジションに3期生の佐藤楓が入り、Rewindあの日では同じく若月佑美のポジションに3期生の山下美月が入りました。乃木團では、ツインボーカル能條愛未中元日芽香から2期生の伊藤純奈と3期生の久保史緒里になり、ソロ曲は4期生が4曲歌い上げました。

時が経って卒業生が増えていく中で、曲を次の世代に積極的に継承させるという動きを見せることとなったのです。

 

このように全177曲を頭から順に披露するにあたって、7thバスラは、避けられない静的な要素に動的な要素を積極的にぶつけていったライブであったと捉えることができます。

 

8thバスラの"静"と"動"

"静"の要素 ー時間・体力と人ー

では8thバスラではどうだったでしょうか。

曲数の観点から言えば、過去最大にハードなミッションでした。

全199曲を17:30から21:00の4日間で披露し切るということは、単純計算で1曲4分ちょっとで披露する計算になります。ここにMCやムービーが入るとなると、移動を含め1曲3分台で披露しなければならず、曲数も1日あたり50曲であることから、時間と体力を第一に考えなければならなかったと言えます。

そこで7thバスラと比べていくつかの変更点が加えられていました。

1つ目はステージの形です。これが最も特徴的であったと言えるでしょう。僕が知っている5thバスラ以降、6thバスラの秩父宮といった例外を除けば、ほとんどのステージの形は、スクリーンがあるメインステージ、センターステージ、センターステージから両脇に伸びるサイドステージ、メインステージとセンターステージの延長上にあるサブステージという、上から見ると十字架のような形でした。

これはステージが縦横無尽に張り巡らされていることから、スタンドにいてもアリーナにいてもメンバーが観客のすぐ側まで来てくれるという観客側のメリットがある一方、ステージが大きいためメンバーの移動距離が長くなり、出入りも複雑になるメンバー側のデメリットがあると言えます。ステージを自由に回る曲の最後で、誰かしらのメンバーがメインステージに向かって爆走しているシーンを見たことがある方は多いのではないでしょうか。

このデメリットは迅速にかつ体力を温存して曲を披露しなければならない8thバスラにおいては致命的となるでしょう。

そこで今回は、独立したサイドステージとサブステージを廃止し、上から見たときに8の形になるようなステージの形になっていました(8th YEARの8にかけているというのもあると思います)。これだとメンバーの移動距離が圧倒的に減り、ステージへの出入りもメインステージかセンターステージ周りに限定され、メンバーの曲のスタンバイの負担も大きく減ったのではないかと思われます。

2つ目は空間演出の廃止です。ワイヤーアクションはかなりの危険が伴うものですから事前の練習は必須ですし、本番もそのセッティングと取り外しに少なからず時間がとられていました。バランスを取るのも難しいですし、乗り物で空中を動く場合も含め、多くの安全への配慮とメンバーの体力を要する演出でした。

8thバスラではこれをやめ、時間と体力を確保し、歌とダンスに集中させる従来の形に戻しました。 

 

人の観点から見ても8thバスラは7thバスラと大きく異なりました。つまり、7thとは対極的に、多くの曲で卒業生のポジションを空けたままにしたことです。

確かに多くのメンバーが抜けてしまった他の星からでは、3期生最年少岩本蓮加や4期生最年少筒井あやめらが入り、Day4の強がる蕾は賀喜遥香がソロで披露しましたが、例えば女子校カルテットの曲では若月佑美桜井玲香のポジションには誰も入らず、Another Ghostと心のモノローグでは齋藤飛鳥白石麻衣がそれぞれソロで披露しました。

7thのような継承も今後のグループのことを考えれば必要なことですが、8thのようにその曲はその曲のままでといったのも1つの曲の披露の方法であると言えるでしょう。

 

このように8thバスラでは、7thバスラと比較して"動"であった要素を"静"に大きく変化させたのです。

 

"動"の要素 ー工夫と遊び心ー

今回のバスラの特徴として、上記にあげたステージの形に加えて、 1stシングルから順に曲を披露しなかったことが挙げられます。

5thバスラや7thバスラのように、卒業コンサートの日のために一定の多くの曲を最終日に回す必要がなく、確かに全メンバーが一同に介する日はなかったものの、かなり自由に199曲を組み合わせることができました。

乃木坂46にとってバースデーライブは一年で最も大切な日といって過言ではないでしょうし、それゆえ肩の力が入ってしっかりやらなきゃという雰囲気に特になると思います。

そんな中8thバスラでは与えられた自由を存分に生かして、従来のバースデーライブとは異なる様々な工夫と遊び心が随所に見られました。

1つ目は期別生コーナーです。1期生から4期生まで順に一曲ずつ披露していく演出は、僕の記憶が正しければ生駒里奈卒業コンサートまで遡るのではないでしょうか(その時は3期生から1期生という順番でしたが)。この期別順の披露は、ランダム披露のセットリストの中で縦の歴史を感じられるコーナーであり、従来のバスラの要素を組み入れたものと言えます。

2つ目は和装コーナーです。ライブの中盤になると、秋元真夏が日本に誇れるものを紹介して曲へのイントロに繋げるムービーが流れました。和装コーナーは2018年全国ツアー仙台公演のジコチュープロデュースで披露された水玉模様を想起させ、夏の全国ツアーで見られるような演出との印象を受けました。

3つ目はメンバーの会話と曲の演出です。Day2の人生を考えたくなるの後に秋元真夏中田花奈がなんのテレビを見るかで、秋元真夏はひねくれ3を、中田花奈はトップ目とれるカナ?を見ようと会話するのですが、その後につけたテレビからもうすぐ〜ザンビ伝説〜が始まります。ザンビ伝説では、曲の途中で松村沙友理が関西弁で懐中電灯を歌唱メンバーに配り、メンバーがその光を自分の顔にあててホラーっぽく歌い、松村沙友理がそれに悲鳴を上げるという演出がありました。またDay4の白石麻衣松村沙友理高山一実新内眞衣の4人で披露された偶然を言い訳にしてでは、曲のイントロでいきなり「世界遺産といえば?」というクイズが出され、新内眞衣だけが急な展開についていけずキョトンとするという演出がありました。このような遊び心たっぷりな演出は近年のバスラでは珍しいのではないでしょうか。

4つ目はムービーです。まずオープニングムービーは、Day1が遠藤さくらの印象的な静かなムービーで始まり(確か花の命は短いけど美しい、といった感じだったと思います。個人的には過去最高のムービーでした)、Day2はメンバーから様々な注意事項が告げられ、齋藤飛鳥が「うるさーい!あれもダメこれもダメって...自分が楽しむのが一番!ジコチューでいこう!」(確かこんな感じ)と叫んで、1曲目のジコチューで行こう!が始まりました。Day3は湯浅監督のあたたかくも力強いムービーが流れ、Day4はシンメトリーでメンバーが交錯するようなムービが流れ、4日間全て違うオープニングムービーが流れました。

加えて先ほど述べた和装コーナーの導入となるムービーですが、日によって少しずつ紹介される日本らしいものや秋元真夏のセリフが毎日異なっており、ここにも飽きさせない工夫が見られました。

 

 

 

5つ目はプロジェクションマッピングです。確かDay2の命は美しいでは、東京ドーム公演を彷彿とさせるプロジェクションマッピング(実際メインスクリーンではドーム公演の映像が流れていましたし、確かステージに映し出されてた映像と同じだったように記憶しています)が投影されていました。また具体的な曲は忘れてしまったのですが、メインステージを上から撮っていた曲が複数ありました(例えばDay1のAgainstでは、星野みなみの周りで他の1期生が仰向けになっていたところがスクリーンに映し出されていました)。

最後は乃木坂バンドです。2019年の夏の全国ツアーでも乃木坂バンドが結成されており、非常に好評でした。生演奏だからこその音の迫力と厚みが感じられ、乃木坂の曲の新しい面も発見できるなど、夏ライブを盛り上げるのに欠かせない存在となりました。そんなバンドがバースデーライブにも進出し、とても素晴らしい迫力あるパフォーマンスを見せてくださいました。多くの曲を1日で聞いているからこそ、生の音というのは余計に印象に残ったのではないでしょうか。

 

 

 

このように8thバスラは7thバスラの"静"と"動"から大きく異なり、ある意味ではバースデーライブらしくないですが、ライブとしての質は非常に高かったように思います。

 

 

おわりに

 以上、"静"と"動"という観点から7thバスラと8thバスラを検討して8thバスラの特徴を考察してみました。バースデーライブという乃木坂の歴史あるライブの中で、全曲披露というコンセプトを維持しつつ、どのようにして曲を披露するか、様々な努力が垣間見えるかと思います。この点、8thバスラはかなり自由なバスラとなっており、その自由さを生かして様々な工夫を組み込んだ非常に良いライブだったと思います。

9thバスラは一体どうなるのか、そもそも全曲披露はできるのか非常に楽しみなところではありますが、その前にこの8thバスラでまた大きく成長したであろうメンバーの活躍を見届けていきたいと思います。